
エスキス アムール
第27章 彼とのカスタム
「波留くん…
眠れるまでお願い…」
「……」
少しだけ困った声をだして、
『眠れるまで』
と、条件をつけて
手を伸ばすと
彼はもぞもぞと、
何も言わずに
くっついて来てくれる。
よく眠れた?と、
次の日心配して
声をかけてくれるところをみると、
僕の不眠症を本気で信じて
抱きしめてさせてくれているのがわかった。
心は痛むよそりゃあ。
嘘ついてたらさ。
それを本気で
信じちゃってるわけだし。
でも、彼を抱きしめなかったら、
ぐっすり眠れないのは本当。
だから、いいよね。
眠るまでと言ったって、
結局朝まで抱きしめている。
彼は寝てしまうだけなのか
彼の優しさなのかわからないけど、
たまに僕の服を掴んで
眠っているところをみると、
キスをしたくなるほど嬉しい。
少しずつ、少しずつ、
彼が僕に心を許していくようで
とても幸せだった。
