テキストサイズ

エスキス アムール

第29章 彼からの誘惑





「だから、別に、その、

噛みつきたいなら、
……噛み付いても…。」


ほら。
こんなことを言う。
どうせ、きっと、
誘ってるつもりなんてないんだ。

こういうところが天然だから困る。


噛み付いたあと、
どうなるかなんて
考えちゃいないんだ。


だから、ストーカーされるんだよ。
鈍感だなあ。



「…噛みつかないよ。」


僕は紳士だ
彼の天然を考慮して、

耐える。



そう。

彼と一緒にいるということは、

我慢するということと
イコールで結ばれている。


どれだけ誘惑紛いのことをされても
キスをされても

彼のことをそれ以上、
好きにならないように
努めなきゃならない。


そうするためには、
せめて、キス以上の関係に
ならないようにしなくてはいけない。


我慢なんだ。

我慢。


彼はその我慢にも気がつかないさ。

天然だから。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ