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エスキス アムール

第32章 彼と実験




僕が体を求めなくなって
波留くんは少しだけ反応を示すようになった。

最初の二週目までは、
不思議そうにちらりと
僕の方を見るだけで、
何も言わなかった。

恐らく、僕が疲れているのだろうと思ったのかもしれない。


三週目、四週目になると、
少しだけスキンシップが増えた気がする。

朝になると、
キスをせがむように、
僕を見つめて服を掴む。

夜になると、遠慮がちに
そっと服を掴んで僕の胸に
頭を擦り付ける。



それでも、僕は心を鬼にして
キスをせがむその瞳から
目をそらし、

頭を擦り付ける彼に背を向けて寝る。
彼はその度に哀しい瞳をした。




その哀しい瞳が
僕のことを好きだと表しているようなものだと思うのだけど、

僕をもっと求めて
好きだと言ってくれるまで、

僕は耐えなければならない。



言葉で、聞けばいいのかもしれないが、言わせいているみたいなのが嫌だ。

なんとしても、
ここは波留くんに頑張ってもらわなければならない。















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