テキストサイズ

エスキス アムール

第32章 彼と実験






「ご飯できたよ。…おきて。」


「…んー。」



重い瞼を開けると
波留くんがぼやけるほど

彼の顔が近くにあった。


思わず、近くにあるその唇に
吸いつきたくなる。

耐えろ耐えろ耐えろ。



「今行く。」


顔を彼からそらす。
少しだけ彼を盗み見ると、


彼は、少し寂しそうな顔をした。



「うん…はやく、きてね…」


あー、キスしたい。
乱れる姿を見たい。


もう、限界だ。


はやく好きだと言って
はやく誘ってくれ。



ベッドの上で
大きく深呼吸をして
気持ちを落ち着かせた。



リビングに行くと、
机の上にノートが広がっていた。


見覚えのないそれ。
僕のではない。


ちらり

覗くと、
そこには雑貨や家具の
設計図のようなものが描かれていた。


それは緻密で
デザインがとても良い。


スマホの充電器とか
時計置きとか
小物入れとか。


日常でこんなものが
ひとつあったら、

気分が上がるんだろうなと、思う。


それに、思わず見入ってしまい、

ページを
どんどんめくってしまった。






ストーリーメニュー

TOPTOPへ