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エスキス アムール

第33章 彼のシゴト




「観月製薬が立ち直るまでだからな?」

「わかっています。
よろしくお願い致します!」



二人きりになって念を押すと、
彼は真面目な顔をして頷いた。


もう何をしたらいいのか
わからないまま
株価は下がっていくし、
収益もどんどん赤字になって
部所ごとにもまとまらないし

彼は今までの不安をぶちまけるように隙間なく話した。


特にここがまとまらなくて…



そう言って提示したそこの部所は、要が部長を務めていたところだった。

あれだけ慕われていた奴が
明らかに不当な解雇をされたのだ。
部下が反発したっておかしくない。



「まず、何をしたら
良いのでしょう…」



その顔は何も知らない
小学生のようだ。

これだから、親のコネで入ったやつは。と、思う。

だけど、観月Jrは人一倍、
この会社を立て直そうという気持ちがあるし、親のようにはならないと、潔く俺に気持ちを伝えてきた。

能力の有無は
まだわからないけど、
基礎的なことと技術は
俺がいるうちに
少しでも付けてくれればいい。


やる気があればいいってものじゃないが、やる気がないと始まらない。


できることは、しよう。



「やることはいっぱいあるぞ。
まず、秘書を呼んで。
それから、ここの部所は…」




久々に、
頭をフル回転させて
とても気持ちが良かった。




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