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エスキス アムール

第33章 彼のシゴト

【木更津side】





夜遅く帰ると、
波留くんは風呂に入ったあとで。

約束していた出前を
机の端に避けて仕事をしていた。



「ただいま」

「あ、おかえり」



ちらり、僕の方を見て、
すぐ書類に目を通す。

仕事になるとこれだ。
すぐ夢中になって、ほかのことは目に入らなくなる。
波留くんはじっとしてられないタイプだから、これで少しでもストレスが発散できたらいいなとは思うけど。



最近ずっとこうだ。
流石に、こんなに相手にされない日が続くと、ムライラする。

…なんていうか…
……嫉妬…?


仕事に嫉妬するなんてな。
自分の欲深さに苦笑する。

彼が集中しているうちに
お風呂に入って、出てくると、
変わらずにまだ彼は仕事していた。


仕事が好きなのはわかるけど、
こんなに詰めていたら体に悪い。


彼の持っている資料を取り上げた。


「おい、やめろよー」

「今日はおしまい。
波留くん詰めすぎだよ」

「大丈夫だよ。
あと、少しやるから。
木更津食べてていいよ。めし」


そう言って、机の一角を空けて
出前を並べる。



うーん、面白くない。



僕は、彼が座っているソファに
乗って、後ろに回り込むと
彼を後ろから抱きしめて
また、資料を取り上げた。










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