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エスキス アムール

第37章 彼を想ふ




僕がホモだと態度に示した時の彼の顔。

えげつなかったなあ。
今思い出しても笑える。

そりゃあ、襲われそうになったことがあるなら誰だって嫌になるだろうけど。




あの時は既に彼は彼女のことが好きだった。
もう、彼を見かけた時点で彼の心が僕のものになることはなかったのだ。


今もこれからも、
彼を忘れることはない。


彼の声も

彼の顔も

彼の身体も


彼の全てを。




良い夢を見させてもらった。
そう思えばいい。



ニューヨークはもう、半袖を来ている人が多く暑さが迫ってきていた。

日本とはまた違うこのフリーダムな雰囲気は嫌いではない。




もう深夜近いというのにネオンはキラキラと煌めいていた。

彼は、ネオンよりも
星が好きだったな。



また、彼のことに結びつけてしまう。
今日は彼のことを思い出しすぎて
とても淋しい気持ちになった。



携帯にある彼の連絡先は消せていない。

彼の電話番号もアドレスも、連絡が取れないように拒否をしてある。

そんなことをしなくても、彼は僕の所に連絡なんてよこさないと思うけど。




だけど、これを消してしまったら本当に彼と何もなくなってしまうようで。
どうしても消すことができなかった。



今日はなんだか最悪の気分だ。
溜息をつきながら
マンションをエレベーターで昇って、自分の部屋に向かう。



あと5メートルくらいで扉の前につくというところまで差し掛かったとき、



ドアの前に人影が見えた。









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