
エスキス アムール
第5章 苦い体験
「どのお酒になさいますか?」
そう言って並べられた酒。
なかなか
手に入らないものまで、
たくさん種類があった。
どれがいいと言っても、
酒は付き合いで飲むくらいで
詳しくない。
そう言うと、
いつも社長にバカにされた。
酒くらい詳しくなっておかないと、
仕事に支障が出るぞと。
女と酒の飲み過ぎで、
仕事に支障が出てるのは誰だよ。
社長を見ていると、
とてもじゃないけど飲む気にはなれなかった。
「何か…オススメはないのかな。」
ここはバーじゃねーよ。
って思われてるんじゃないだろうか。
思われても仕方ない。
「オススメ…、
あ、私の好きな組み合わせならあります。」
しかし、
はるかちゃんは、
そんな俺にも嫌な顔一つせずに、ニコニコとお酒を作り始めた。
何の気なしに見ていた手元。
よく見ると、
手首に赤いあとがついているのが分かった。
そういえば、
首も赤くなっている。
…手形だ。
まさか…。
「すみません。お見苦しくて…。」
そういって、
俺の視線に気が付いた彼女はは苦笑した。
