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エスキス アムール

第41章 思わぬ再会

【波留side】




「大野さん大野さん、」

「んー?どうした?」

「どうなんですか、最近」

「なにが?」

「夜の営み!」

「ブハッ!!」



要が三村のところへ行って不在のとき、高峰がそれを待ってましたとでも言うようにニヤつきながら聞いてきた。

食べていた昼食の卵焼きを思わず吹き出す。
そんな様子を見て、高峰は笑った。


「馬鹿!要がきたらどうするんだよ!」

「だから、いないときを狙って聞いたんじゃないですか」


俺が醜態をさらした夜のことは、少しだけ記憶がある。
本当に少しだけ。

次の日高峰にからかわれるまでは、何があったのかわからなかった。
あれ以来、度々高峰は近況を聞いて来る。
なんでも、俺たちのラブシーンとやらを見てしまったようで、あれが頭から離れないのだそうで。

男同士がイチャイチャしてるのを見て、テンションが上がる彼の頭の中はよくわからないけど、まだ要にも言えずじまいのまま、時間だけが過ぎていた。



「早く要さんに言ってくださいよ。
あの可愛い大野さんについて、是非話したいです」

「…クビにするぞ」

「うわ、パワハラ…こわっ。」



日にちも経ち、最初は酒の力がなければジョークの一つも言えなかった高峰も、かなり打ち解けてジョークも言えるし、人をからかいまくるようになった。
人というより、対象になるのは俺だけど。





ジョークくらいは言えた方がいいかもしれないが、
からかいまくるところは、大反対だ。


高峰の教育係は要に任せた。
高峰は、要のことをいつの間にか名前で呼ぶほど彼のことを慕っていて、いろいろな事をあいつに吹き込まれたらしいが、そんなところまで真似しろなんて言ってない。

部下にからかわれる日がくるとは思っても見なかった。
まさか、あんな醜態を晒すなんて。

あの日から俺は、木更津の前でも酒を制限して飲むようになった。



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