
エスキス アムール
第46章 ロンリスト
「ん……ぅんん、……ん」
久しぶりのキスに、自分の甘い声が部屋に響く。
抵抗を見せた彼の手も、もう動くことなくなにもしなかった。
けれど、彼は受け身になって、舌を絡めようとはしない。
「んあぁ……っぁ……」
彼の手が背中に回って、背中をすーっと撫でられると敏感になった身体がぶるると震える。
少し仰け反った身体に、思わず彼の腕にしがみついた。
「はるかちゃん……」
「……」
「……おれ……おれ…、 んっ」
その続きを聞きたくなくて、急ぐように唇を唇で塞ぐ。
私の身体は求めていた彼が、今こうして目の前にいるという奇跡に、すっかり反応して熱くなっていた。
誘うように彼の首筋に舌を這わせて、Tシャツのしたに手を入れてその肌に触れようとしたけど、私の手はあっという間に絡め取られ掴まれて、私は押し倒された。
お互いもう息が切れて、部屋のなかには二人の息づかいの音しか聞こえない。
あまり何も考えられなくなってきているけど、
軽い拒絶をされたのだということに少しだけ気がついて、少しだけ傷ついた。
けれど、そんな私に大野さんがキスを落としてきて。
思いがけずふってきたキスに身体が強張った。
誘ったのは私だから。
怒らないで。
責めるなら私を責めて。
彼から与えられる快楽に酔いしれながら、彼の手首に触れて彼の心のなかにいるその人に謝った。
「……ん、ふ……あや、やぁっん」
「濡れてる。……興奮してる?」
「……ちが、ぁああ!や、だ、め……ん」
そうやって意地悪な顔をしながらも優しい快楽を与えてくれる彼は何一つ変わっていなかった。
すっかり私は濡れてしまって、少し触れられるだけで身体が跳ねる。
それに大野さんは妖艶に笑って、首筋に跡がつかないようにかそっと、口付けた。
