テキストサイズ

エスキス アムール

第46章 ロンリスト





ドキドキドキドキ



心臓はもうバクバクだ。
だけど、大野さんの鼓動はゆっくりゆっくりリズムを刻んでいて、とても安心できた。

その身体に身を委ねて、このまま眠りたくなる。




「すこしだけ……、すこしだけでいいから、こうさせてください」

「……」


自分の行動に驚くばかりだったけど、何とか言葉を紡ぎだして、回している腕に力を込めた。

あのときと変わらない安心感。
暖かい腕のなか。

大好きな香り。



涙が出そう。



少しでいい。少しでいいから。
まだ離さないで。

そうしている間に
彼を好きだという思いがどんどん広がっていく。




「……っ」


涙か溢れそうになったとき、彼の腕が背中回るのがわかった。
その行為に一気に心臓の鼓動がはねあがる。



「……うん、すこしだけ……」




そんな声が耳元で聞こえると、彼が私の肩に顔を埋めるのがわかって、身体が熱くなる。
彼の吐息が首筋にかかるのが恥ずかしくて胸にもっとグリグリと顔を埋めると、大野さんも顔を埋めてきた。


ああ、もう。

それだけでどうにかなりそう。



……キス、したい



ダメなことはわかってる。
だけど……



大野さんの綺麗な手が、私の背中をゆっくり撫でている。
吐息は首にかかり、身体が熱い。


……私からキスをすれば、大野さんは悪くない。




最低な女でいい。


ごめんなさい、



私は埋めていた胸からすこしだけ離れて顔をあげた。
それに気がついて、大野さんも埋めていた顔を離す。


彼の顔が自分の前に来たところで、
胸においていた手を上に持っていき、ほほに触れると、抵抗される間も与えないように、すぐに唇を塞いだ。



「……ん……っ」



驚いた彼の声が響いて、私の身体をどけようと抵抗を見せたけど、私は両手で彼の頬を覆って、彼に体重をかけながらキスを続けた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ