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エスキス アムール

第47章 教え込まれたカラダ





だから、彼女にキスをされたとき、
ああ、もうこれも浮気にならないのかなんて、漠然と考えた。

最近は木更津に責められてばかりだったけど、彼女と付き合ってた時は責めだったんだなとか。


あの時の愛しいと思う気持ちも思い出して、すっかり彼女の余韻に浸った。
けれど、違和感は消えない。


消えないまま、彼女はまず絶頂を迎えた。
白い肌がだんだんと赤み帯びて来て、ゆるりと動く腰はまるで俺を誘っているようだった。

そして、気持ち良さそうな顔をしてこちらを見つめ、甘い声を出しながらビクリビクリと身体を震わせる。



あの時の俺なら、そんな風になった彼女を見た時、挿れたい。そう、思ったはずだ。


一つになりたいと願ったあの頃。
好きな人を抱きながら、一つになれないのはとても残酷なことだった。

あの頃の気持ちを思い出している今、その気持ちだってわかる。





…はずだった。




いや、わかる。
分かるんだ。


けど、俺は自分の異変に気が付いて、心の中で青褪めた。




俺はつい最近まで、女性のことが好きだった。
それで、木更津のことを好きになった。


専ら、性行為は木更津とだけだったけど、俺の立ち位置的にはバイだったはずだ。


……間違いない。

だけど、俺はそのとき、頭を抱えたくなった。

何でって叫びたくなった。
そんなことってあるのかって。
泣きたくなった。



だって俺の身体は、



恐ろしいことに、俺の身体は……





彼女に、一切、












反応していなかったのだから。


























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