
エスキス アムール
第49章 LOVELOVELOVE *
波留くんと一緒にベッドになだれ込む。
彼の柔らかい髪を梳くと、気持ち良さそうに目をつむった。
「まだ早いからね、寝ていいよ。
ありがとうね、待っててくれて」
一回お風呂に入って、楽な格好に着替えたい。
というか、何よりこのムラムラとする気持ちを、水でも浴びて鎮めたい。
そう思って、波留くんの頭から手をどけ、一度ベッドから抜け出そうとしたとき、手が伸びてきて、僕の腕をつかんだ。
「どうしたの?」
「……」
波留くんはむぅっとした顔をして、無言のまま僕の腕をぎゅっと握った。
もう一度どうしたのと聞いてみるけど、またぎゅっと握ったまま俯いてしまう。
「お風呂いって着替えてくるだけだからね?」
「…やだ」
「どうしたの、波留くん」
長い間彼女のところに行かせて、帰ってきたと思ったら僕が日本に戻って、彼が寂しい思いをしたのはわかる。
僕だって寂しかったのだから。
だけど、こんな風になるのは初めてだ。
ただお風呂に入って、着替えてくるって言っているだけなのに。
本当に襲いそうなんだから。
今だけは離して欲しい。頼むから。
どうしたものかと思案していると、波留くんは消え入りそうな声で呟いた。
