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エスキス アムール

第50章 甘えたい甘えられたい



「波留くん…?」


思いっきり首を振る。
ここでいつも甘えるから、木更津が無理することになるんだ。


そうだ。と思い立って、キッチンに向かう。
食後、いつも木更津は珈琲を淹れてくれるのだけど、食後は寝っ転んでいつもそれを任せっきりだ。


きっと隆さんになら、珈琲をいれてもらうんじゃないだろうか。



豆を挽いて、珈琲を淹れていると、その音と匂いに気がついて木更津もキッチンにきた。




「今日は珈琲も淹れてくれるの?」

「いつも、やってくれてるから…」

「そんな、いいのに。
波留くんだっていつもご飯作ってくれるでしょ?
それのお礼だよ」


そんな言葉は無視して、珈琲をいれてマグカップを渡すと、木更津は嬉しそうな顔をしてありがとうと言った。

その顔が少し、隆さんと話しているときのような感じに似ていて、嬉しくなる。



この調子だ。

いつもなら、珈琲を飲んでまったりとした時間は、俺が必ず木更津に寄っかかってまるまって、ひっついているのだけど、今日はそんなことしない。


ぽんぽんと自分の膝を叩いて、木更津を見つめた。





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