
エスキス アムール
第50章 甘えたい甘えられたい
「僕が?甘えたいって?そんなこと言った?」
「…な、なんでもない。」
甘えさせてあげなきゃ。
俺ばっかり甘えてたらだめだ。
今日からあまり甘えるのは控えよう。
そう思って、木更津の肩に腕を回す。
髪の毛を触りながら、少し、力をいれて木更津の頭を自分の方によっかからせた。
「なに?寄っかかっていいの?」
「…」
普段は、こっちから木更津に身を預けることが殆どだから、木更津は可笑しそうにそんなことを聞いてきて。
俺が無言で頷くと、じゃあ遠慮なく。と、よっかかりやすいように体勢を変えて俺に身を預けた。
ふわっと木更津の香りに包まれて、抱きしめられているように感じて、こっちも良いななんて思った。
木更津の髪の毛が頸筋に当たってくすぐったい。
彼の体温を感じながら、彼の頭に自分の頭を傾けて浸っていると、木更津は直ぐにモゾモゾと動きはじめる。
「……波留くん、いいよ。ほら。」
「…っ」
木更津は俺から身体を離すと、肩を抱いて自分の方に俺を引き寄せようとする。
思わずその胸に飛び込みそうになったが、さっきのことを思い出して、身体を強張らせた。
