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エスキス アムール

第57章 直接対決

【矢吹side】






「…何の用?」



その人は、落ち着き払った表情で冷たい言葉を僕に向けた。



「やだなあ。何のことかわかっているくせに。」



それに対抗して、僕も負けじと余裕を撒き散らす。



波留くんに拒絶されて家を出てからすぐ、僕は光平くんに電話をかけた。

今から会えるかという問いかけに無理という一言だけを突きつけられ、すぐに電話は切られたわけだけど。



この間光平くんがいたカフェに行ったら、彼は優雅に珈琲を飲んでいた。



どうやら、ここは彼の行きつけのようだ。



僕もここを気に入って、ここを行きつけにしようと思っていたのに。


いつも光平くんは、僕より先に何かをしている。


カフェひとつとっても変わらない状況に、少しだけイラっとした。





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