テキストサイズ

エスキス アムール

第60章 全てを捨てたって






「……な……、」



何を言っているんだ。
僕が光平くんに執着してるって?

何を馬鹿な。


「何を……っ自惚れにもほどがある!
第一、今回は僕が波留くんを好きだからキミから……っ」

「うん、確かにね。
矢吹は波留くんのことを好きになった。
だけど当初の目的は違ったはずだ。
最初は波留くんが矢吹の方に来れば面白いなって思っていただけなんじゃない?」

「……っ」

「……図星、かな?」



なにも言えなかった。
波留くんがこっちに来れば面白いと思った。
だけど、本気になったのは僕の方だった。

波留くんを最初に知ったのは、観月製薬のあの一件だ。


だけど、手を出そうと思ったのは……、



光平くんと波留くんが食事をしていて、
そのときに、光平くんがお揃いの時計をプレゼントしていたのを目撃したとき、だった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ