
エスキス アムール
第62章 離れない離さない
「離れるわけ、ない」
離れられるわけが、ない。
どれだけ心配したと思ってるの
どれだけ寂しかったと思ってるの。
それを埋めるために、埋められる分だけ抱いたはずなのに、まだ、足りない。
もっともっと、
どうして、こんなにも彼が好きなのか。
愛しているのかなんて、言葉じゃあ説明できない。
こことここが好きだから、なんていう次元じゃないんだ。
ご飯を食べている時だって、隣にただ座っている時だって、愛しく感じる。
彼がいないことで感じる寂しい感情にさえ、愛しさはこみ上げてくるのだ。
僕を哀しくさせるのも、最高に楽しくさせるのも、波留くんだけ。
だから、僕だって彼にとってそういう存在でありたい。
そういう存在じゃなきゃ、嫌だ。
誰にもやらない。
もう、誰のところにも行かせるものか。
