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エスキス アムール

第62章 離れない離さない





身体を拭いてあげようと、タオルを取りにいくために身体を波留くんから離そうとすると、動けない。

背中にはいつの間にか波留くんの腕ががっちりと回っていて、外れそうにもなかった。



まあ、いいか。
起きた時にお風呂に入ろう。


波留くんを抱きしめ直して、ベッドに寝転ぶ。
顔中にキスを落として、最後に唇に触れるだけのキスをした。



すると、寝ているはずの波留くんの顔が綻ぶ。
たったそれだけで、幸せな気持ちになれた。


最初は本当に嫌がられていた。
あの時のことを思い出すと、今でも笑える。

あの時の波留くんに言ってやりたい。


未来の君は、泣いて縋るほど僕のこと好きになってるよって。
あり得ないって殴られるだろうな。


最もあの時の僕も、こんなに夢中になるなんて思っても見なかった。
彼と愛しあえるだなんて無理だと思っていたから。



だけど、今こうして、抱き合って愛を確かめ合って。
きっとこれからもずっと、同じことの繰り返しだと思う。


けれど、同じことの繰り返しの中で、彼を愛するという気持ちだけは増していくばかりなのだろう。




「こーへい…」


隣で波留くんが僕を呼ぶ。



「……?」

「んー…す…き…」

「……」



寝ていたって僕の心を踊らせる。
この男にはきっと一生敵わない。



ああ、幸せだ。





僕もだよ。


耳元で囁いて、
彼の呼吸を感じながら


彼の頭を抱き寄せて、眠った。







ーエスキスアムールFINー






















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