
エスキス アムール
第66章 木更津の動揺
「…波留くん?」
「そんなこと…っ言わないで…」
「だから、もしもの話ね。
波留くんが言い始めたんだよ?」
手始めになんて聞いた自分に呆れる。
馬鹿なことを聞いてしまった。
「……ん…」
木更津の肩口に顔を埋めると、顎を掴まれて、唇が触れ合った。
その感触に、木更津がここにいる、大丈夫だと、安堵する。
良子ちゃんと面白がって、計画した話だったけど、この先大丈夫なのかとても不安になった。
計画を中断しようか、
色々迷う。
死ぬとまで言わせてしまって。
これ以上必要だろうか。
どうしようもない罪悪感が湧き上がってきて、唇を離した。
「どうしたの。…考え事してるね」
「ん……ごめん…」
木更津の手が俺の足に触れる。
すーっと肌を撫でられて、ぴくりと反応してしまった。
それを見て、木更津はクスリと笑う。
「スる?……明日、早いけど」
「…明日早いけど……スる。」
俺の答えに木更津はまた笑って、口づける。
どうしたら機嫌が直るのかも、どうしたら俺が何も考えなくなるのかも、全て知っている。
その日も木更津が与える快楽に抗うことが出来ずに、俺は意識を手放した。
