
エスキス アムール
第66章 木更津の動揺
「ん……ん…すき……ごめん…すき…光平…」
涙を抑えるためにキスをしたのに。
唇を合わせたら、涙はブワリとこぼれて止まらなくなった。
そんな俺に気がついて、木更津は唇を離すと涙を舐めとって、瞼にキスを落としてくれる。
さっきまで、小さくなった
背中を抱きしめていたのは俺なのに。
あっという間に形勢逆転だ。
いつだって、木更津は俺を甘やかすことしか考えていない。
甘やかさないと気がすまない。
甘えている俺をみて、満足げに笑っている。
そして、俺も木更津に甘えることが堪らなく好きだ。
「ごめん…なさい…っ」
せっかく拭ってくれた頬はまた涙で濡れていく。
「本当に悪い子だね。波留くんは。わからないのなら、分かるまで教えてあげる。」
木更津はゆっくりと俺の頬を撫でて微笑むと、耳元で囁いた。
「どれだけ、僕が波留くんを愛しているか、ね?」
