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散る華如く ~男遊郭に咲いた華~

第3章 郭を訪れて・・・

「しをな・・・この着物を仕上げてちょうだい。」

母、瑠恵が言う。

「はい、お母様。」

彼女はこくり、と頷くと、梅が咲き乱れた着物を手に取った。

そして、縫い針と糸切り鋏を手に取った。

(彼はどうしているの・・・?)

あの日―『おいらん道中』を見た日から、彼のことが忘れられなくて。

「しをな姉さん、それ・・・きれいだね。」

瑠花が着物を指さして言った。

「出来上ったら、遊郭に届けに行ってくれるわね?」

「ええ、お母様。いつもの『菊屋』でしょう?」

「そうよ・・・くれぐれも、長居はしないで。」

「・・・?」

しをなは戸惑った瞳(め)で、母の顔を見つめた。

「いいから、行ってきなさい。」

「ええ・・・お母様。」

彼女は出来上がったばかりの着物を持って、遊郭へと向かった。

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