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散る華如く ~男遊郭に咲いた華~

第4章 夢の中での出来事

しをなは飛び起きた。

―どうやら、作業をしているときに眠っていたらしい。

「夢・・・?よかった・・・」

「しをな姉さん、大丈夫・・・?すごくうなされてたよ?」

見ると、心配そうな眼差しで小さな妹が彼女の傍らに座っていた。

「大丈夫だよ、ありがとう・・・瑠花。」

彼女は微笑んだ。

瑠花の心配を吹き飛ばすような、明るい笑みだった。

「さぁ、作業に戻らないと・・・」

「姉さん、手が震えてるよ?」

「心配しないで、瑠花。本当に大丈夫だから。」

「うん・・・」

瑠花は悲しそうに黙って、俯いてしまう。

(姉さん、どんな夢を見たの?さっきから手が震えているし、おでこに汗が光ってるよ?)

妹のそんな内心の思いには気づかずに、しをなは縫う作業を再開する。

黙々と縫っていくその様は、まるで何かを振り切ろうとしているかのようだった。

「お母様、できたよ・・・!!」

瑠花が悶々と考えている間に、しをなは元々ほぼ完成形だった着物を仕上げてしまった。

そして、母の元に行ってしまう。

そして、誰もいなくなった部屋で、瑠花は呟いた。

「姉さん、なんでこわい夢を見たことを隠すの・・・?知られたくない夢なの?」

その声は昼の明るい光に吸い込まれ、消えていった。
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