《番犬女》は俺のもの
第10章 見舞い
だがこの後の展開にまで納得するわけにはいかないんだよ。
「これ以上ふざけたマネするなら、横の靴箱をぶっ壊すぞ…」
「こわっ」
慌てた様子で零は内鍵から手を離す。
「暴力反対だよ?」
「ったくお前は…」
しかし、茜はすぐに部屋を出ようとはしなかった。
一瞬のうちにブラックなオーラを纏った零の声が、いつもの軽い話し方に戻ったからだ。
「せっかく来たんだし上がっていけば?確かに俺は変態だけど……」
零が靴を脱いで奥に進む。
「──茜さんは " か弱い女の子 " じゃないんだし、平気だと思うからね」
どうする?
そう聞かれ、茜は警戒心を丸出しにした目で彼を見定めている。
「……そう願う」
漸く茜も靴を脱ぎ始めた。