《番犬女》は俺のもの
第12章 そういうの いらない
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「お手紙を読んでくれた…?」
「……手紙?ああ、…靴箱の、ラブレター?」
「…そッ// ──うん。そのラブレターよ…! 」
お手紙、と言った絵美は
ラブレター、と直球の言葉を使われて赤くなる。
「…じゃあ…ちゃんと読んでくれたんだ…ぁ」
安心したように彼女は小さく呟いた。
彼女自身、誰かの靴箱に手紙を入れたのはこれが初めてで読んでもらえるのかどうか自信が持てていなかったからだ。
チラッと零の顔色を伺う…
「……?」
彼は屋上の扉の窓から、雨の打ち付けるコンクリートを無表情に見ていた。
どうしてそんな顔をしているの…
「……どう思った?」
絵美の安心は、途端に不安へと変わる。