《番犬女》は俺のもの
第3章 天敵現る
ガララッ
「篠田 零はいるか」
翌朝のこと
朝礼前の2ー1の教室の前のドアが勢いよく開いたかと思えば、暗いがよく通る声でひとりの生徒の名が呼ばれた。
ピキッ....
朝のテンションで騒いでいた男子生徒は、ひとりのこらず凍りついた。
──いや、たったひとりを残して…
「…いないのか」
「…篠田は、俺だけど?」
「…!!」
返事をした生徒に一斉に視線が集まる。
足を組んで椅子に腰かけていた彼は自分に集まったその視線に、何事かと教室を見回す。
「お前か…」
「──…」
「…顔を貸せ」
「…え」
自分を呼んだ黒髪の女生徒は、そう言って教室から出ていった。