《番犬女》は俺のもの
第17章 ライバルな転校生
朝のランニングを終えた茜がアパートに戻ると、予想していた通り、そこには朝食の用意がなされた食卓が。キッチンには零が。
「今日は和風で」
得意な顔で彼は茜を迎える。
反して、用意された食事を見る彼女は呆れ顔だ。
お米の隣に、湯気のあがる汁物。
焼き魚には蒸した茸がよりそい
小鉢には白い漬物が。
「…この汁は?」
「とろろ昆布のすまし汁。で、こっちが長芋の梅肉和え」
「いったいどこの料亭だよ…」
汗をかいていた茜だが、ご飯がさめてもいけないので手だけ洗って食卓についた。
勝手にいすわる零に納得できないけれど
ご飯に罪はない。
いただきますと小さく言って汁物から口にする。
「‥‥どう?」
「…っ、ああ、美味い」
彼が感想を求めるので、しぶしぶ茜は正直に答えた。