《番犬女》は俺のもの
第20章 暴かれる
ハルクはそれをヒントに、暇潰しゲームのルールを自分で定めたのだった。
「明治維新は…新政府側の力だけで成功したんじゃあない。──江戸幕府によって日本の統一が為されていたからこそ、ってこと」
「……は?」
「現時点、凰鳴で力を握っているのはアカネだ。だから僕は、キミに近づいて利用するつもりだったのに」
なのに、アカネの隣には邪魔な男がいた。
とんでもない大物が──。
「…レイの存在は計算外だったよ」
「──…ッ!? ハルク、あまり意味不明なことをごちゃごちゃと…っ」
「──アカネは、知らないんだね」
「…」
追い詰められている筈のハルクが、このタイミングで妙に意味深なため息をもらす。
彼は首を動かしてスーツ姿の男たちに合図を送り、それを見た二人は頷くと車の中へ戻っていった。