《番犬女》は俺のもの
第22章 茜サンは、強いよね
茜の手には、そのままシャツを引きちぎるのではと言うほどの力が入っていた。
「──…ボタン飛ばしたら怒るよ」
クスクスと楽しそうな零は、隠す手のなくなった彼女の唇を狙って啄んだ。
「……っ」
「茜サン……」
俺みたいな変態に狙われるなんて
不運だね。
「何言って る…」
「……?」
「…こんな事をしているんだ。私たちはそろいもそろって変態ってことだよ…!!」
零の唇に邪魔されながらも、茜はボタンを外していく。
ゆっくりではあるが、ひとつずつ確実に外していく…。
負けず嫌いな彼女は一度決めたことを曲げたりしない。
「──…なら、変態勝負ね」
間抜けな名前のこの勝負。
片方は真剣そのもので
片方はそれを楽しんでいる。
真剣な彼女には申し訳ないが
勝敗は目に見えているようだ──。