《番犬女》は俺のもの
第25章 みとめない!!!
「──!!」
キキッーー!
「……ゴクッ‥」
「茜ちゃん…っ」
ピタリと立ち止まった鬼モードの茜。
彼女の拳はちょうど、ハルクの顔に狙いを定めたまま止まっていた。
“ 良かった…間に合って… ”
叫んだ梗子はホッと胸を撫で下ろした。
「…ハァ…、…っ」
命拾いしたハルクのこめかみから、流れる汗。
頬をつたい…顎の先に引っ掛かっている。
「花崎さん…っ」
「…っ、どうしたの?忘れ物?」
笑顔で聞いてくる梗子を見て、先程まで怒りに我を忘れていた茜も少しの落ち着きを取り戻した。