《番犬女》は俺のもの
第7章 誘拐
「──誘拐?」
それは昼の弁当を食べながらの話題だった。
一緒に食べるのが前々からの約束だった…
クラスの女生徒が茜を囲んで昼食をとっている。
「そう、誘拐!いま流行ってるこの乙女ゲーム」
女生徒のひとりが鞄につけたキーホルダーを茜に見せる。そこには黒髪の美形男子が、青い瞳で無表情にこちらを見ていた。
キーホルダーの裏には
《☆誘拐☆ イケメンヤクザに拐われて~》
というロゴがある。
その下には
《俺がお前を守ってやる──》
と小さい文字が……。
「乙女ゲーム…?」
どんなゲームだ?
「恋愛ゲームですよぉ♪いろんなタイプの王子様たちと、恋に落ちていくんですから…」
「…それは…魅力的だな(汗)」
「茜さんもわかりますか!? 本当にカッコいいんですから♡」
別の女子が、雑誌の切りぬきを茜に渡す。