すべてはあの日から
第15章 未定
「真央のこと…心配していたんですよね」
「………」
「どんな環境か、
どんな奴が好きなのか、
見定める為に、ここまで来たのではないですか?」
「……さぁ、
どうでしょうね」
素直な返事なんか期待してなかった。
だけど、
「…俺は 真央に相応しい男でしたか、
なんて尋ねません。
それに、たとえどんな返答でも、
俺が真央だけを愛しぬくことには変わりないですから…」
「…随分な言い分ね」
凛とした姿勢のまま、下駄を履き、
戸に手を掛け、
顔だけゆっくりと此方へ振り向く。
「自信が無いよりは、
ちょっとばかし意欲的で自信家の方が良いわ」
ピシャリと閉まった戸からは、
もう、あの自然な微笑みは確認できなかった。