テキストサイズ

スーパーボール

第6章 時の隙間*翔潤*碧の街

『寝れば、逢える』

そう思い、翔は眠りについた。

───

櫻「…あ」

碧に囲まれた街。
翔は、いつも同じ夢を見ていた。

そして、恋をした。

松「翔!」

翔を呼んだのは、潤。
彼に逢うために、翔は寝る。

櫻「潤!」

松「おはよ」

櫻「おはよ、今日はなにする?」

松「んー。ちょっと、付き合って!」

櫻「え?」

潤に手を引かれて走り出す。

ドキドキが止まらなかった。
“手を繋いでる”
これだけで、嬉しかった。

松「ここ!」

笑顔の潤が指をさす。
その先には……。

櫻「うわあ……綺麗…」

淡い碧のなかに、透明な湖。
真上から射す光が、湖に反射して、
キラキラと光っている。

松「一番に翔に見せたかったんだ」

繋ぐ手に力が入った。

松「翔と逢えて嬉しかったよ」

櫻「え?」

隣を見ると、微笑む潤がいた。

松「もう、会えないかもしれないから」

突然の言葉に翔は、何も言えなかった。

松「好きだよ、翔」

潤が少しずつ、消えていく。
姿が薄れていく。

泣いた。翔は、泣いた。

『嫌だ!』
『離れたくない!』

何度も叫んだ。
だけど、潤の表情は変わらない。

ずっと、微笑んでいる。

櫻「潤…」

松「翔、ありがとう」
櫻「好き、俺も好きだよ」

繋ぐ手に温度がなくなっていく。

松「本当!?嬉しいな」

櫻「だから…また、会いにきて…?」

潤は、少し考えて
満面の笑みを溢して翔に言った。

松「いつかね!」

その言葉を最後に潤は、消えた。

───

目を覚ますと、涙を流していた。

櫻「もう…会えないのか……」

夢ではなく、現実で小さく呟いた。

-END-

ストーリーメニュー

TOPTOPへ