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スーパーボール

第13章 カレンダー*山*漆黒の夜空

「え?送ってくれんの?」

大「うん。行こ♡」

俺は差し出されたその手を握った。
智の手はやっぱり少し小さい。

大「もう、夜だねぇ」

「だなー」

会話が続かなかった。
何を話せばいいのか全くわからない。

大「翔ちゃんは俺こと好きなんだよね」

「それは、お互い様だろ」

智だって、俺のこと好きなくせに。

大「そうだね」

「にしても、智に避けられてちょっと傷ついたわ」

どんだけ、喋ってないと思ってんだ。
ツラいったらありゃしない。

大「ごめんね。
翔ちゃん、俺のこと引いてたし…
これ以上好きになったらいけないって思って…」

……可愛い。
そんなことで、俺を避けてたのか。

急に愛おしく感じてしまって、
ギューっと抱き締めた。

大「え?翔ちゃん?」

「はぁー、好きだわ」

大「やだ、照れるぅー♡」



このやりとりから、
数ヵ月後には智が本当に俺の前から姿を消したんだ。

出会った季節を、
過ごした時間を、

素直な『好き』って気持ちを、


憎んだ。


-END-

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