
甘い果汁
第5章 目撃な果汁
部屋に戻ると悠也の姿はなかった。
(いつもいるとは限んないよ)
私はそう思いながら、部屋着に着替えて隣の部屋のドアを開けた。
「うわっ、姉ちゃん、何」
「茜~~ッ…」
妹の茜に抱きついた。
「姉ちゃん、って強そうだけど弱いよな」
茜は私の頭を撫でた。
茜は今、一番忙しい中学3年生。
「また悠君と何かあったの…?」
「……何で、茜にはお見通しなのよぉお、私よりバァカの癖に」
「一言いらん」
「ふーん。姉ちゃんも大人になったんだ」
「お兄ちゃんと同じ事を言うな」
茜に、悠也とシたこと、狩野先生のことを話した。
「えっ、私、兄ちゃんと似てるの?! いやだなあ」
茜はショートヘアの髪の毛をかくと、
「心配しなくていいんじゃない? 悠君は姉ちゃんのことしか見えてないと思うけど」
