
甘い果汁
第5章 目撃な果汁
(悠ちゃん……?)
私はその場で固まった。
(いやいや、悠也なわけない…そうだよ、〈悠〉ってつく人は悠也だけに限んないもん)
額に添えていた手から、血が零れ落ちる。
「あっあっ、イっイッちゃあっ、」
私はこの場にいてられなくなって、その場から立ち去った。
「おかえり…って、でこ!」
岬先輩が私に駆け寄る。
「…先生、帰っちゃってて…」
「……絆創膏はっとこっか」
岬先輩は何かを察したのか、私の肩をポンッと叩き、絆創膏を私の額に張った。
「…亜衣ちゃん、ごめんなさい」
カンナが半泣きで私に駆け寄ってきた。
「大丈夫だって! 花の色鮮やかにしてくれたら☆」
「いやです、反対です、いやです」
