
甘い果汁
第8章 とろける果汁
「やめろクソ親父…」
「オーナー…」
「俺の歩ちゃんだから!!! 俺以外に手出しは出来ないのよ?! オーーーッホッホ」
そのオーナーの台詞と甲高い笑い声で、周りのお客様たちが静かになった。
(オーナー…)
「…なんなんだよぉっ、この店はよぉっ、うったえてやっ」バァァン
「…きめぇんだよ、」
「…いってぇなあっ!」
里奈のスイッチがオンになってしまった…
里奈は空手を5年続けていたらしく、
その客に一発くらってやったようだ。
「きめぇんだよ、クソ親父! 今すぐ、金置いて出てけ!」
里奈のギャップに、全客と、社員がポカーーンとしていた。
「くっそぉ…おい、行くぞぉお」
その客は勢いよく1万円札をおいて出て行った。
それに続いて、その客の連れも焦って逃げていった。
