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甘い果汁

第8章 とろける果汁



 あっ、最初に言い忘れていたけど、

 更衣室は男女共有、仕切りはカーテン一枚という、男女にとってはドキドキだ。


 俺はカーテンを閉めて、着替え始めた。


 ちらりとカーテンのほうを見ると、里奈が着替えている影があった。


 「…ッ、歩ッ?」


 俺は気づいたら、里奈を抱きしめていた。


 「里奈、雪ちゃんの…見てたんだよな…?」

 「うん…っ…」

 「ごめん、ごめんな」

 「いいの…私、こんくらい、なんとも思わないよッ…? 雪ちゃん、可愛いから…歩むも…好きに…っなっちゃうのかなって…思ったらッ…私っ…うううっ」


 里奈は小さな、震える声でそう言った。


 ぁあ、この子は俺をこんなにも愛してくれているんだ。


 俺のために泣いてくれてるんだ。

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