Slow🎵Step 〜不器用な二人のラブストーリー
第3章 Step 3
翌日、学校の帰りに一果は里見のいる大学に足を運んだ
「おーい、里見 、すっげえ美少女が尋ねて来てるぞ 、知り合いだってさ、お前どこでナンパしたんだ? そのうち捕まるぞー」
「誰?」
「山野、とか言ってたな」
「今、手が離せない、悪いけど帰ってもらってくれ」
「何だよ、自分で言って来いよ、あ、それなら俺相手してようか」
「だめだ、お前こそ捕まるぞ、 余計なことするなよ、久志」
「何だよ、人こき使いやがって、ちょっとくらい良いじゃん、お前なんか捕まっちまえばいいのに、何だよ、いつもお前ばっかり」
ぶつぶつ言いながら久志が部屋の外を覗くと、既に一果の姿は無かった
研究室から少し離れた所にベンチを見付けた一果
ここなら里見さんが帰る時通るだろう…
一果は溜息をつくとそこに座り、本を読み始めた
春とはいえ、この時間になると底冷えがする
しばらく本を読んでいたが、気付けばもう本が読めないくらい暗くなっていた
あ…
里見さん? 出て来た
女の人と一緒?
ああ…
背が高くて綺麗な人
「あ、あの…」
「……」
「と、突然ごめんなさい 先日はご迷惑お掛けしてしまい、申し訳ありませんでした」
里見の顔はとてもじゃないが見れなかった
下を向いたままぺこりと頭を下げると、くるりと向きを変え、早足で歩いた
「四季、だあれ? あのコ」
「いいんだ、関係無い」
「なあに、あなた、あんなお子ちゃまにまで付きまとわれてるの?」
二人の声は早足で歩く一果の耳まで届いていた