Slow🎵Step 〜不器用な二人のラブストーリー
第5章 Step 5
もうすぐ春休みだ
一果は高校二年生になろうとしていた
最近里見さんの様子が以前と違うような気がする
プライベートが忙しいのか、お勉強の後のお茶を断って帰ることが増えたし、お茶をするにしてもすぐに帰ってしまう
何より、会話していても一果と目を合わせないのだ
気のせい、かな…
一果としては家庭教師に来てもらっているだけでありがたいのだからできるだけ気にしないようにしていたのだが、ここ二週ほどは勉強が終わるとお茶も断わっていそいそと帰ってしまう
何かあったかな…
それとも気付かないうちに一果がまた何か変なことをしてしまったのだろうか
でも、考えても考えても全く心当たりが無い
今日で三週目だ
今日こそは聞いてみよう
勉強が終わるとまたいそいそと帰り支度を初めた里見に思い切って話しかけた
「あの、里見さん」
「何かな? ああ、折角だけど、今日はお茶している時間無いんだ それじゃ、今日はこれで」
「あのっ、私、また何か失礼なこと、しましたか?」
「え?」
「あの… わからないんです 少し考えてみたんですけど、思い当たることが無くて… もし、何か失礼なことをしてしまったのならごめんなさい」
「違う」
「え?」
「違うから… 一果ちゃんは悪くないから 悪いのは俺だから」
「また来てくれますか?」
「ごめん、もう無理」