
Slow🎵Step 〜不器用な二人のラブストーリー
第7章 Step 7
ただでさえ同大学の客が多いこの店のこの時間帯に、大学でも入学早々から相変わらず歳上のお姉様方からもモテモテで目立つ佐藤とツーショットで会話しているのだ
周囲の視線が痛いほど突き刺さる
が、当の本人は全く感知していないようだ
「で、返事は?」
「あの、佐藤くん 私、今…」
「いいよ… 俺、今はこうして一果と話しができるだけでさ 好きな人いるんだろ?」
「うん」
「あのカテキョウの先生?」
「うん」
「あの人もこの大学にいるんだろ?」
「うん」
「ライバルだからっていうわけじゃ無いけどさ、あの人この大学に彼女いるって噂だぜ」
「それは…」
「同じゼミの同期ですっげえ美人だってさ」
「え?」
実は… と白状しかけたところで耳を疑うような内容が耳に入ってきた
「美男、美女のお似合いでいつも一緒にいるって有名らしいぜ」
その後、佐藤が何を言っているのか全く耳に入ってこなかった
「一果、一果? 聞いてる?」
「え? ああ、うん」
「大丈夫か? お前、昔から我慢しちゃうとこあるだろ? 一人で抱え込むっていうかさ… 何かあったらいつでも言えよ? 一人で抱え込んで我慢するなよな 相談くらいいつでも乗るから、さ」
「う、うん、ありがとう そうする」
「ああ… 大丈夫か?」
「うん、なんともないよ」
笑顔で答えて心配そうな佐藤とは駅で分かれたが家までの帰り道も終始上の空だった
帰宅した伯母に何度も呼ばれるまで真っ暗な自室でただぼーっとしていた
