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Slow🎵Step 〜不器用な二人のラブストーリー

第8章 Step 8



待ち合わせ時間の10分前になったところでメールが入る

♫♫♫♫♫♫♫

___おはよう
予定通りで大丈夫?

___はい
大丈夫です
今西口にいます

♫♫♫♫♫♫♫

すぐに着信音が鳴った

『一果? 西口にいるの?』

「里見さん? おはようございます… はい、西口です」

『そこにいて、今行くから」

「は、はい」

電話を切るといつの間にか三人組の男たちが一果を囲むようにして声をかけてきた

「どしたの? 友達来ないの? さっきからずっとここにいるでしょ? カラオケでも行かない?」

「いえ、今来ますから」

「じゃあさ、友達も一緒に行こうよ、ね?」

「行かない、です」

何度断っても切り替えして来るので諦めて黙って下を向いていると

「一果? 知り合い?」

三人組の肩越しに聞き慣れた声がした
はっとして顔を上げると里見が立っている

首を横に振る一果の手を引いて自分の後ろにかばうように隠しながら

「おいで、遅くなってごめん」

二人のやり取りを聞いていた三人は

「なんだ、兄妹かよ」

などと言いながら行ってしまった

「ごめん、マンション東口なんだ」

「あ… ごめんなさい、私間違えて」

「いや、迎えに行けば良かったんだ… 初めてなのに一人でここまで来させるんじゃなかった」

一果の手を引いて前方を向いたままずんずん進んで行く里見に小走りでついて行くのがやっとだ

本当だ、これではまるで迷子の妹を見つけた兄に連れられているようだ
とてもデートなんて色気のあるものではない

情けない…
待ち合わせもまともに出来ないなんて
久しぶりに会えたのに里見の顔が見えない

怒ってる? のかな…


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