
Slow🎵Step 〜不器用な二人のラブストーリー
第1章 Step 1
「ただいま戻りました」
一果が伯母宅へ戻ると来客のようだった
邪魔にならないようにとそのまま階段を上がりかけると後ろから声を掛けられた
「こんにちは、先日はどうも」
「あ、この間の…」
「いっちゃん、お帰り お茶、一緒にどう?」
「いえ、私は…」
「気を遣わなくていいのよ こちら、卒業生の里見さん」
「こんにちは」
軽く微笑み会釈する一果
「ありがとうございます でも、明日までに仕上げないといけない課題があるので… 」
「あら、そう」
「失礼します、ごゆっくりどうぞ」
里見に向かって軽く会釈すると階段を上がる
今まで何人もの卒業生を見送って来た伯父宅は来客が割と多い家だった
温厚な伯父を慕って、休日になると卒業生が訪ねて来ることも少なく無かった
「いっちゃん、お待たせ、ご飯できたわよ」
「はーい」
「こめんなさいね、遅くなってしまって」
「いえ、いいんです どうせまだ課題が終わらないので」
「あまり根を詰めないようになさい あなた、疲れるとすぐにお熱出すんだから」
「はい」
「さあ、食べちゃいましょうね」
「あ… 」
「ああ、里見さんも食べて行ってもらうことにしたのよ いっちゃん、これお願いね」
「はい」
お味噌汁とご飯を運ぶ
「どうぞ」
「ありがとう」
「伯父様も、どうぞ」
「ああ、ありがとう」
「また、あなたったら お食事の時くらい本はよしてくださいな」
「はいはい」
「いただきます」
