Slow🎵Step 〜不器用な二人のラブストーリー
第13章 Step 13
「佐藤くん?」
「一果、どうした?」
佐藤は周りをぐるりと囲まれて下を向く一果の姿に驚いて手を伸ばすと一果の手首をぐいと引いた
「行こう」
「ねえ、あの人、サッカー部の佐藤くんじゃない?」
「そうよ、佐藤くんだわ」
「何で? 何であの一果って子ばっかりなわけ?」
佐藤に手首を掴まれたままキャンパスをぐんぐん歩いているとこれはこれでまた皆に注目されて恥ずかしい
「佐藤くん、皆見てるよ」
下を向いたまま話しかけてくる一果の言葉でようやく気付いたのか手を離した
「ご、ごめん」
「ううん、私こそ、助かった ありがとう」
「お前、あんなとこで何やってんの?」
「うん、特に何って訳じゃないんだけど、ね」
「特に、って… お前、囲まれてただろ?」
「ちょっと失敗しちゃったかな…」
「あの派手な連中、里見さんのファンクラブのやつらだろ? お前、目ぇつけられたんじゃねえの? 気を付けろよ あの連中、あんま良い噂聞かないから」
「うん」
「お前、このまま帰れんの?」
「うん、帰るところだった」
「あの、さ 今日のこと里見さんに相談した方がいいんじゃねえの?」
「うん… でも里見さん忙しいから」
「お前さあ、いつも俺が通りかかって助けてあげられるとは限らないんだぜ」