テキストサイズ

Slow🎵Step 〜不器用な二人のラブストーリー

第15章 Step 15



それでも何とか断わり続け夏休みが終わる頃、突然里見が叔父の家を訪ねて来た

これには一果も慌てた

叔母の気遣いで夕食を皆で一緒に取ることになったのだが、食欲が無いから遠慮したい、と申し出る一果に、せっかく来てくれたのだからせめてテーブルに着くよう言われてしまった

食欲が無いのは本当だった
里見と会わなくなってから、誤魔化して断わり続ける後ろめたさや夏の暑さなどから元々細い食が更に細っているため、叔母からも何かあったのか、と度々心配されていた

食事が終わると里見は叔父と論文についてしばらく話し込んでいたが、これから大学に戻らなくては、と言い立ち上がった

帰り際、里見が一果と少し話がしたい、と叔父に申し出ると、外まで一果が送ることになってしまった




「少し痩せたみたいだけど、身体、大丈夫?」

「はい」

「何かあった? 今度マンションに来れないかな、ゆっくり会いたい」

「はい、でも、学校始まったらまた忙しくなりそうで…」

「バイト?」

「はい」

「そんなにバイト頑張らないと厳しい?」

「まあ…」

「そうか… 悔しいよ、何もしてあげられない自分が」

「そんな、そんなことないです 会えなくても私は… 里見さんの大切な研究応援してますっ だからっ、研究頑張ってください」

「何が何でも成功させてみせる 失敗は許されないんだ」

一果の口元に軽くキスを落とすと、すっかり暗くなった駅までの道を帰って行った


ストーリーメニュー

TOPTOPへ