Slow🎵Step 〜不器用な二人のラブストーリー
第16章 Step 16
嬉しかった
久しぶりに蒼に会えて一緒に食事をして話もできた
急に現れた時は慌てたが、元気そうな顔が見れただけで嬉しかった
これでまた当分頑張れる
夏休み明け、講義が終わると佐藤に半ば無理矢理連れて来られたいつものファミレス
「お前… ちゃんと食ってんの?」
「え?」
「え?じゃないだろ、お前、大丈夫かよ」
「大丈夫だよ」
「大丈夫じゃねえだろ、どう見ても」
「……」
「夏休み中何かあったのか?」
「何もないよ」
「なら何でそんなになっちまってんだよ」
「研究が無事成功するまで里見さんと会わないことにしたの」
「会わないって…」
「研究に集中して欲しいの… だから」
「ふぅん… 里見さんとは話し合ったのかよ」
「話し合うとかは… してないよ、でも、会えなくても応援して待ってるから頑張ってください、って伝えた」
「里見さんはなんて言ってたんだよ」
「絶対に成功させてみせる、って」
「ふぅん…」
二人とも運ばれてきたパスタに手を付ける
「何か隠してるだろ」
「え?」
「約束しただろ、何かあったら俺には話すって」
「だから、何も無いって」
「そうやって一人で抱え込んで我慢するなよ」
「ありがと、でもね、どうにもならない時ってあるんだと思う」
「……」
「今は、少し距離を置いてみようと思うの」