Slow🎵Step 〜不器用な二人のラブストーリー
第19章 Step 19
一果は大学の図書館で科学誌を探していた
あ、これだ
花純ちゃんが言ってた『Science』
手に取ってパラパラとページをめくってみる
お目当てのページはなかなか見つからない
何度か往復して片隅に小さく、見つけた!!
____日本の○○大学の研究に期待、成功すれば画期的な _ _ _ _ _ _ _
嬉しかった
でも…
「里見さん、ますます手の届かない人になっちゃった」
一果は小さく小さく呟いた
あの時、里見からはっきり別れようと言われたわけではなかった
「しばらく離れた方がいいかもしれない…」
あの時、里見の言葉に頷いたのは自分だ
里見の言葉に一果自身が答えを出したのだ
その方がいいと思った
里見がそう言うのなら…
一果は里見のお荷物になりたくなかった
もし… あの時、一果が頷かなければ里見とは今頃どうなっていただろう
泣いて縋り付いてでもいたら変わっていたのだろうか
あの日から心のどこかで里見を待っている自分がいた
淡い期待に縋り付くしかなかった
「そろそろ諦めなくちゃいけないな…」
もう何度そう呟いたことだろう
里見はもうとっくに一果のことなど忘れている
でも…
わかっていてもあと少し、あと少しと心の整理がつかないままずるずると先延ばしにしてきた
心の中で思っているだけならいいじゃない…
一果は左手のピンキーリングにそっと唇を押し付けた