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Slow🎵Step 〜不器用な二人のラブストーリー

第19章 Step 19



あの日、里見が左手の小指にはめてくれたピンキーリング

里見とのただ一つの繋がりの証し
一果は一度も外したことがなかった

何度も外そうと思ったができなかった
不安になったり、嬉しいことがあったり、何かある度に必ずリングを唇に近づけそっと押しあてるのが癖のようになっていた

一果はすぐに里見の研究が取り上げられている科学誌のバックナンバーを取り寄せた

雑誌が届くとお目当てのページをコピーしてクリアファイルに挟みその日から毎日持ち歩いた

里見は一果が大学を卒業する前年度には大学の研究室で助教になっていた

学会で認められ、科学誌で取り上げられたことが功を奏し、里見のルックスに目を付けたマスコミが騒いだ事で国から多少の補助が得られたため研究室は存続されることになったのだ

助教になって多少の余裕はできたものの、相変わらず研究漬けの毎日だったが少しでも一果の様子を知りたくて暇をみては共用スペースを訪れていた


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