Slow🎵Step 〜不器用な二人のラブストーリー
第19章 Step 19
「一果、少し話したい」
「……」
一度研究室に戻った俺は教授から指示を仰いだ後、車で一果の家を訪ねた
そのまま一果を車に乗せて俺のマンションに来ていた
「どうぞ、座って」
「はい、お邪魔します」
「それ… リング、まだしてくれてたんだ」
一果は俯いたまま黙って頷いた
真横に座った俺に少し身体を硬くする一果
「…付き合ってる奴、いるの?」
俯いたままふるふると首を振る一果に内心ほっとする俺
「…好きな奴は? いるの?」
俺はもう一度ふるふると首を振る一果を抱きしめて言葉を続けた
「なら、また会ってくれる?」
「……」
「もう一度、やり直したい… 」
「それは…」
「あの時俺は一果を守れなかった… 側にいて守ってやれなかった… でも、今は違う、後悔してるんだ、離れたこと」
「里見さん…」
「頼む、戻ってくれないか? 側にいて欲しい」
しばらくの沈黙の後、一果は何かを決意したように頷いた
一果の顔が見たくて身体を離すと、一果は俺の目を真っ直ぐに見つめた
「その代わり、お願いがあるの」
「何?」
「私とのこと、誰にも言わないでほしいの」
「どうして?」
「お願い」
「…わかった」
俺は一果とまた会えるならそれでいいと思った
その時は一果が例え誰かのものでもいいと思った