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3月の僕たち

第8章 雑談8

「結構、重たかったな」


 圭一は両手いっぱいにぶら下げていた包みを黒板前の台に置いた。


「うん、手が真っ赤だよ」


 ダイが荷物を台の上に乗せた後、手のひらを皆に広げて見せた。

紙袋の持ち手の細い筋が何本も真っ赤に腫れている。


「あぁ酷い・・・ダイさんはここまでよく頑張りましたよね」


ハルちゃんが荷物を下ろして、ダイの手を取ってさすっている。


「ハルちゃんは何ともないの?」


ハルちゃんの手を広げさせると、多少握りこんでいたらしく指先が青くはなっていたが、僕と比べてもそれほど酷くはなっていない。


「どうして?見かけによらず力があるんだ?」


 僕が不思議そうにハルちゃんの綺麗な手をさする。


「あの、これのお陰だと思います」


そう言ってハルちゃんは下げて来た袋の持ち手部分を指差した。


「何これ?」


 ハンカチがグリップのように持ち手を纏めるように巻いてある。


「道中で・・・上出先輩が・・・」


「遥暉が途中で何度も辛そうに持ち直していたんで、少しでも緩和できるかと思って。
荷物持ってやりたくても、俺もいっぱいいっぱいだったんで」


 さすが上出君よく観ているし、対処が的確だ。

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